きようなできごと

記憶力が足りない

おかしな地震の話

先日、こういう話を聞いた

 

ある地方で

大きな地震がおきた

特別被害はなかったのだが

あるコンビニだけ

屋根が崩れてしまったが

店員は逃げ出して無事だった

 

ただ

崩れた屋根のすきまに

おそらく店にいた客(Aさん(仮名))が

半日ほどとじこめられていて

すぐに病院に運ばれたて

無事だったが

様子がおかしいという

 

脱水症状があり

意識が混濁しているようだった

 

確かに

とじこめられていた間

日中は暑かった

だが

コンビニなため

商品の水などは

棚から落ちて

そこら中にあったのだが

飲んでいた様子はなかった

しかし、栓をあけたものは

いくつかあった

ただ、飲んではいなかったらしい

 

Aさんは

けがなどはなかったが

いまも、うわごとをいっていて

意識がはっきりしないという

 

この件に関して

周辺で話を聞くと

Aさんと同級生だというBさんに

話を聞けた

 

Bさんは

今回の話、おそらく

「Cの呪いだ」

とはっきり言った

Cさんとは、AさんBさんの同級生で

すでに亡くなっている

 

AさんとCさんは学生の時

同じ部活に所属していた

Aさんはレギュラーで

Cさんは補欠だったそうだ

 

夏休みの間の練習中

Cさんが倒れ、そのまま亡くなった

原因は、重度の脱水症状

 

その日

Cさんは飲み物を持っていなかった

だが

他の部員の話によれば

AさんがCさんや他の部員の

飲み物を勝手に飲む姿が

度々目撃されていた

そして

Aさんは、Cさんに

水道の水を飲まないように

していたという

 

だが

これは後からわかった話で

Aさんからの報復をおそれた他の部員は

Aさんの行為について

言及する事はなかった

 

その後

Aさんは度々

まぼろしを見て取り乱す事があったという

その時決まって

「Cが来る、Cが来る」

と言っていた

 

そして

今回、入院して手当を受けていたAさんを

見舞いに行った時

やはり、うわごとでCさんについて

言っていた、とBさんは話してくれた

 

実際のところを

Aさんに聞いてみたかったのだが

退院間近の先日

行方不明になっていた

 

呪いなんて

本当にあるのだろうか

 

タピオカのブルース

「俺、なんていうか怖いんだ」

キョウコが席に座ると

すぐに、マサルは話しだした

 

なにしろ

タピオカが怖いという

 

 

 

「なんか、イモをなんかするとできるらしいよ」

どこかで聞いた話を

キョウコは思い出した

 

「それ本当か?きっとなんか他の星から

来ているんじゃないかな」

出た

マサルのふしぎな事は宇宙論

もうどれだけの事を

疑えば気が済むのか

 

「実は、さっきこういう事があったんだ」

マサルの話はこうだ

家の近くの公園を歩いていたら

そこに

ドリンクスタンドが

あたらしくできており

当然

タピオカミルクティーを売っていた

 

マサル

いまいましいものを見る目で

ドリンクスタンドを眺めながら

公園を出ようと出口にむかう

 

ふいに

芝生のあいだに

なにかあるのを見つけた

 

タピオカだった

公園の芝生に

時々あるわかめみたいなやつ

あれと同じ感じで

そこにタピオカはあった

 

たまたま、あそこで

こぼしたやつがいた

そう考えて

急いで、マサルは公園を出た

 

そうは思っても

なにか気になる

ふと、歩道を見るとタピオカ

店の窓枠のすみにタピオカ

前を歩くひとのポケットから

こぼれおちるタピオカ

 

いやいやいやいや

いったいなんなんだよタピオカよ

 

なんだか

気分が悪くなってきたマサル

駅前の雑踏のなか、立ち止まる

その時見たのだ

 

白昼堂々

ゲロをはくおじさん

おいおい、昼間から酔っぱらいかよ

だが

マサルは目を離せなかった

 

おじさんは

タピオカをはきだしていた

タピオカミルクティー

もどしているのではない

純粋に

タピオカだけを

大量に道の側溝にはいていた

 

マサルは、道に座り込む

おじさんは

耳や鼻からも

タピオカをはきつづけていた

 

そして

キョウコを呼び出し

いまにいたる

 

だから

いずれ街がタピオカに

 

 

というのが

マサルのタピオカによる

人類の絶滅への道だそうだ

 

そこまで

きいて当然あきれたキョウコだったが

実は

なんだかわからない物質で

できていたものが

大量に発生して

地球をおおいつくす

なんてのは

確かに、怖いなあ

なんて

 

 

マサル

うつむいたまま、なにも話さない

「ねえ、どうしたの?」

キョウコは、肩に手をかけると

マサルはそのまま後ろに倒れ込んだ

「いやっ」

その顔は

鼻の穴、耳の穴、目、口が

タピオカで満たされている

そして

あとからあとから

たえず、あふれかえるのだった

 

 

 

「なにこれ」

飲みかけのタピオカミルクティー

最後のひとくち分飲んだ

 

スマートフォンから

目をはなし

立ち上がろうとすると

なにか踏んで少しすべる

 

タピオカをふんだのだ

 

顔を上げて外を眺めると

もう

ひざしたのあたりまで

街がタピオカに

うめつくされていた

 

 

きょうは誕生日

「そんな事できるわけねえだろっ」

 

僕は握りしめたナイフを

手首に押し当てた

 

白い壁に血しぶきが

の予定

 

そんなに、出ない血

なにしろ痛い

痛すぎてひざをつく

 

結局、いつもそうだ

あの時も、その時も

なんか血をみていると

せっかく買ってもらった

ロボットのおもちゃを

家の前ですっころんで

ひざがべろっとむけて

ずっと痛いまま箱あけて遊んだ

っていう思い出が出る

 

そしたら

ぶっと

いきなり血ががふきだして

自分の顔にかかった

ああ、これだこれだ

そう思った時には遅かった

ひざがたたない

あと、恐怖なのか

おしっこも出た

 

母は泣いた

僕も泣いた

きょうは、僕の誕生日

いままでで、最高の誕生日

 

雨をよけながら

雨をよけながら

君に会いに行くぜ

 

当たったら死ぬ雨

そういう設定

 

家からずっと

軒先あったけど

駅前広場で詰んだ

 

だから

あっちの

家賃15万に

住めばよかったのに

 

来た道を帰り

結局濡れた

 

2番は

自由にラップで

 

突然の別れ

あの曲きいてると

キミに言われた事思い出してるよ

 

結果

どういう意味だったか

生きてるあいだには

きけなかった

 

突然の別れ

突然じゃない別れなんて

あるのかね

 

この曲きいてると

思い出すよ

いつも、最後まできけない

涙が、止まらなくなるからね

 

絶対に絶対に許さない

ひどく憂鬱な日々が続き

もう、先が見えない

だめかと思っていた時

ネットで、ある記事を

読みました

 

それは

呪いの実行について

でした

 

様々な方法があるなか

私は、その中のひとつを

実行する事に決めました

 

細かい準備の後は

とにかく毎日

呪いたい相手を想いながら

絶対に許さないと

ノートに書き続ける事にしました

当時

私は、社会から隔絶されていたため

時間だけは、あったのです

 

そして

ノートが、13冊目に届いた時

私をおとしいれた上司が

亡くなったのを聞きました

ついに、効果があらわれたのです

それでも、私は続けました

 

すると

嫌味をいってくる同期

こちらの話を聞かない取引先の担当者

セクハラしてくる部長

次々に亡くなっていったのです

 

「おい、ちょっと待てよ」

「なに」

話をさえぎられ

俺は、とまどう

 

なんの流れか

怖い話大会になり

それぞれが、持っている話を

している最中だった

 

「それ、本当の話なのか?」

こいつは、俺の会社の同期のコウイチ

あまり怖い話が得意ではないらしい

 

「まあ、どうだろうなあ」

ネットで見た話をしただけだ

「お前は、どうだ怖かったか?」

俺は、この部屋の主

同期の鍋子に、声をかける

きょうは、同期で集まっての

鍋パーティーをしていた

 

それでも

鍋子は、黙ったままだ

「おい、どうしたんだ?」

俺は、立ち上がり

鍋子に近付こうとしたが

ガシャン

足元がふらついて

近くにあった、ちいさな棚に

手をかけたが

かけてあった布をつかみ

そのまま、床に倒れた

 

「おい、大丈夫か」

コウイチも、立ち上がろうと

するが、そのままこけた

それでも

鍋子は、黙ったままだった

 

部屋に、沈黙が訪れる

 

「どこで知ったの?」

鍋子は、ちいさく言った

 

「どこってなに?」

俺は返す

からだが、しびれて動けない

 

「その話、どこで」

独り言のように、鍋子は言う

 

「だから、ネットで見て」

うまく動かない腕を動かし

立ち上がろうとするが

うまくいかない

さっき、倒れた衝撃で

棚から落ちたノートが

床で、ひろがっていた

 

そこには

ページ一面に

「絶対に許さない」

の文字が

一緒に落ちたノート全部に

それが、びっしり書いてあった

「あれ、なにこれ」

俺は、震える声で言った

 

「からだ、動かないでしょ」

鍋子は、ゆっくりと立ち上がる

 

「ふたりとも、死んで」

料理上手な鍋子は

たくさんの調理器具

なかでも

様々なものを切れる

包丁セットが

お気に入りだと聞いた

その中でも

一番よく切れるという

肉切り包丁を

鍋子は、思い切り振り上げた

 

 

 

「って、言う話なんだけど」

 

部屋の中は、静まりかえる

つよしの持ち込んだ怖い話は

あまりにも、怖かった

「なにその話、聞いたことないんだけど」

茜は、強がっているが

あたりをキョロキョロして

目が泳ぐ

「京子も怖かったよね」

茜が、言うが

京子は、うつむいて黙ったままだった

「そんなに怖かったか?」

つよしは、京子に肩に手をかけようと

するが、強く手を弾かれた

「な」

つよしは、そのまま

バランスを崩して倒れた

「どうしたの?あれ」

茜も、その場に崩れる

 

からだがしびれて動かない

ふたりを、見下ろし

京子は言う

「絶対に許さないから」

 

 

話はそこで終わっていた

ネットで怖い話を読むのが好きだ

でも、この話

結局、なんなんだろう

なんというか、オチらしい

オチもなく

そう、考えていると

部屋の壁に、なにか動いた

 

虫かな

と思い、そちらを見ると

壁に、赤いしずくがたれていた

というか

壁から、しみだしている

 

見ていると

やがて、それは文字に見えてきた

赤いペンで、書いたような

「絶対に許さない」