きようなできごと

記憶力が足りない

大いなる旅路に、違和感はつきもの

寝ていると、右肩に違和感を覚えた

「明日の試合、無理だな」

プロ野球選手ではないので、無理も

なにもないのだが

 

手で確認をしてみると

それは、硬くそして剥がれた

感覚でいったら、大型のかさぶたが

ごっそりととれた時のそれに似ていた

 

肩にかさぶたができるような傷があったか

いや、ない

いやいや、人の記憶なんてあいまいなものだ

いつの間にか、そこに傷はあったのだ

自分の目では確認できない所にある、傷

そのかさぶたを、違和感にまかせて

剥ぎ取ってしまったのだ

 

これは非常にデリケートな問題だ

 

その傷が、かさぶたが取れるほどに回復した傷

なのか

かさぶたが取れるほどではない傷

だったのかは

ブラックジャックに頼むか

ブラックジャックによろしくされるか

近所にある、あの貞子が出てきそうな病院に行くか

いずれかになるだろう

 

簡単にかさぶたをはがしてしまう

時として出る、自分の大胆さに

恥ずかしくもあり、嬉しくもある

そんな夜だった

 

 

 

まだだ、まだだよ

 

その、かさぶた(仮) を確認する勇気を

持ち合わせてはいなかった

まあ、眠かった

電気をつけて、確認してしまえばいいものを

あえて、確認しないという遊びこころで

寝た

 

次の日

忘れてしまいたかったが、かさぶた(仮) を

確認した

それは、野菜のビニール袋のくちを止める

ちょっと硬めのテープが

引きちぎられて小さくなったものだった

 

かさぶたでもなければ

そもそも、傷なぞなかったのだ

あたりは、安堵に包まれ、祝杯があげられた

そして、私の旅は続くのだった

 

 

 

なぜ、そのようなテープが

Tシャツを着た、肩らへんについていたのか

原因は、まだわかっていない