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きようなできごと

記憶力が足りない

炭酸水への手紙

セミの命は、一週間ほどでとても短い

と言われているが、ぼくは短いとは思わない

あれだけ、けたたましく泣き続け

道にひっくり返って、転がっても

再び、空に飛び立つあの生命力

我々人間の一生も

数十年とはいえ、ふりかえれば一瞬だった

と短く感じる事もあるだろう

どれだけ情熱を燃やす事ができるか

そこに長さは関係ないのではないだろうか

 

さて、今年も暑かった

そして、夏が終わろうとしている

この、夏の終わりに謝らなければならない事がある

 

それは、炭酸水にだ

今年の夏は、例年以上に水分補給が叫ばれていた

ぼくは、炭酸水を夏のパートナーとして選んだ

その、のどごしは南米の祭りのようだ

弾け、踊り、ぐったりとしたぼくの気持ちを

再び、奮い立たせるのには十分だ

そうなんだ、炭酸水との時間は

暑い日々のなかの、ささやかな祭りだったのだ

ぼくは、この時間大切にしたい

そう思い、計画を実行に移す

 

それは、炭酸水の箱買いだ

 

ぼくは、このささやかな祭りが終わりませんように

そう願いを込めて、どかっと買ってやったのだ

だが、悲しみは音もなくやってくる

 

次の日

もう、秋かというほどに、涼しくなったのだ

 

本当にごめんな、炭酸水

ぼくがキャップを開ける時のちからが

若干、弱まるのを許して欲しい

冷蔵庫から取り出して、そのままの勢いで

開ける事がなくなってしまう事を許して欲しい

冷たいうちに、飲み切りたいと

ぐいぐい飲まなくなる事を許して欲しい

 

また、来年の夏、会いたいです

ありがとう、炭酸水