きようなできごと

記憶力が足りない

アプリでゲット

その公園は

僕が、最初にレアなモンスターをつかまえた場所で

どうやら、うわさがひろまったみたいで

もう、夕方なのに

多くの人が、モンスターをつかまえていた

 

僕は

このあたりのモンスターは

根こそぎつかまえちゃったんだけど

なんとなく、この公園に来てしまうんだよな

なにげなく

スマートフォンを、取り出しアプリを立ち上げた

すると

「あの」

僕と同じように、スマートフォンを手にした女性が

話しかけてきた

あのアプリは

僕に、貴重なモンスターだけでなく

とんでもない、奇跡のような出会いまでもたらしたんだ

 

彼女との

結婚を意識しはじめた頃

彼女から、別れを切りだされた

彼女のお母さんが、思い病気にかかっている事

迷惑はかけられないから、別れたいという事

お母さんの手術には、大金がかかるそうだ

 

「俺、その金出すよ」

金額を聞いたら、全然、僕の貯金では足らなかった

でも、少しでも足しにして欲しい

そして、返すのはいつでもいい、という事を告げた

 

あれから、3年がたった

彼女と連絡がとれなくなって3年

結局、彼女のお母さんは助かったのだろうか

一度も、お見舞いに行けなかった

ずっと、断られていたのだ

それからも、彼女を事を探し続けている

もう何度目か、あの公園にも来てみた

あの奇跡のような出会いが、再開が

また、起こるんじゃないか

そう、思ってまた、今日も来てみたのだ

 

「ねえ、このアプリ見てよ」

「あ、これ知ってるよ、モンスターのやつでしょ」

「違う、違う、まあ、似てるけどね」

そのアプリは

人間のあらゆる情報を、検索できるものだった

職業から年収、趣味から性的志向から

「え、なんなのこれ、どこからこんなの」

「まあ、いいじゃん、あなたもつかってみる?」

その時

アプリに、「ターゲット発見」の文字が

「あ、やっと来た!きっと、あの人だ」

むこうから、男性が歩いてきた

アプリ上で、見るとお金のマークが光り輝いていた

「わたし、あの人ゲットしてくるから、ごめんね」