きようなできごと

記憶力が足りない

かなしみのはて

「怒りなんてのは

やがて消えるもんだけど

かなしみは

なんで、こんなに広く

そして深いんだろうな」

 

僕は用意していたこたえを言った

 

「そうか

そうなのかな」

 

彼は少しおおきな石を

かなしみに、投げ入れた

 

波紋は際限なくひろがり

けれど、石が底につく様子はなかった