きようなできごと

記憶力が足りない

バス停で、あと60分

ああ、1時間

さっきのあれを逃したことにより

1時間、次のバスまで1時間だ

 

「それじゃあ、さ」

先程まで座っていたベンチに

男は座りなおし言う

「僕が君を殺そうとした時の事を話そう」

 

ああ、めんどくさ

G子は思う

なんだ、この思わせぶりな

ストーリーテリング(笑)

ただ

これから先の、1時間

それをしのぐための、エンタメ

なにかしらの時間つぶしが

思いつくわけもなく

(なにしろこのあたりはなにもない)

 

「まあ、聞いてもいいけど」

このへんな

知らない

顔は、まあまあな

知らない男が

なにを語りだすのか

私を殺す?殺した?

なんなん、こいつ

 

偶然のバス停で

はじめて出会ったように

思えたあの時は

結果的に、ラストシーンだった