きようなできごと

記憶力が足りない

せめて、妄想だけでも

その日も

いつもの、カフェにいた

 

おしゃれに、カフェオレでも

すすりたいところだったが

すぐさま、かばんから

最近手に入れたゲーム機

携帯もできて、テレビにもつながるあれ

を、取り出し

ヒゲのおじさんが、カートに乗るゲームをするんだ

 

とはいえ

僕は、別段うまいわけではないのだが

なんというか、はまってしまっていて

寝ても覚めても

仕事中にも、気になって

こらえきれずに、いまやっている

というわけだ

 

僕は

夢中になるあまり

ものすごく、亀をぶつけられた、あの時だ

からだごと、動かしながらゲームしていた

もう、なんというか

おだやかな、静かなボサ・ノヴァでも

かかっているカフェで

男が、からだゆすってる

 

話しかけられた時

レースの終わり際で

反応が、遅れた

あまりに、ひとりで盛り上がりすぎたか

 

すると

先ほどまで

ひとつ離れたテーブルにいた女性が

僕の顔をのぞきこむように、見てきた

そして、手の中のゲーム機を指差す

 

なんだ

これが、気になるのか?

すると、彼女は自分のかばんに手を伸ばし

同じゲーム機を、取り出すではないか

 

は?

なぜだか、一緒にレースすることになった

わかる、そうだろう

そんなことが、あるわけがない

 

ただ

彼女が、2位につけて

僕が、1位のレース終盤

僕に、亀をぶつけて

彼女が、1位になった時

 

「よくわからないから、教えてください」的な

それなやつ、では、まったくない

やつだったのだ

 

というか

もはや、おぼえていない

よかったら、明日も、とかなんとか

 

昼休みを

盛大にオーバーして、しかられたが

会社に戻る道は

昨日とは、違ってみえたんだ