きようなできごと

記憶力が足りない

繰り返しの日々

僕は、ゆっくりドアを開けた

 

 

「先生、よろしくお願いします」

この先生の所に来るようなって

どれくらいだろう

ずいぶん、長い間

お世話になっている

 

病気ほ

一向に回復の兆しを見せない

「きょうは、どうですか?具合は」

 

僕は答える

「ええ、まあまあです。ただ」

「ただ?なんですか」

 

僕は迷う

まさか、この診察が

ずっと同じことの、繰り返しの

ように感じているなんて

先生に、言えやしない

でも、僕のなかで

それは、ふくらんて

おさえきれなくなっていたんだ

 

「なんというか、繰り返しというか」

「繰り返し?なにがです」

まずかっただろうか

「あの、この診察があの」

あせる、うまく言葉が出てこない

先生は、僕をじっと見ている

 

「そうなんです」

「えっ」

「いつも、同じように」

 

先生が言うには

それにより、こちらの

細かなことばや、動きを見ている

ということだった

 

僕は

コンピュータかなにかに

操られていて、同じ質問

同じ答えを

ただ、繰り返している

だけなんじゃないかって

 

先生は、笑って言った

そうだとしたら

相当複雑なことしてるね

そのコンピュータとやらは

 

そして

君は、少ないとも快方に

むかっている

また、一週間後に

ということだった

 

僕は

頭を下げ、部屋を出る

 

よかった、安心した

 

 

でも、待てよ

やっぱり、おかしくないか

先週も、その前も

同じ質問、同じ答え

 

もう一度、確かめよう

 

 

 

「あれ、なんですか?」

「あれは、今度導入される

エキストラロボの、医者と患者だよ」

 

 

僕は、ゆっくりドアを開けた